プログラムPROGRAM
2009 2

日本映画名画鑑賞会
2009年2月6日(金)
月1回の「日本映画名画鑑賞会」。上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。

《料金》
一律500円


牧逸郎キャメラマン 追悼上映
2009年2月14日(土)・15日(日)・21日(土)・22日(日)

関西で活躍する数少ない映画キャメラマンの一人で『ガキ帝国』『真夏の少年』などの撮影者として知られる牧逸郎さんが、2008年10月1日の未明、肺ガンのため64歳の若さで急逝された。
一緒に仕事をした仲間や友人達はみんな寂しい思いをしているところであるが、これまでの撮影の業績を偲ぶべく、1968年に牧さんを含む大阪の映画人が結集して撮影した『1968大阪の夏・反戦の貌』から、最新作で遺作となった『地球のヘソ』までの膨大な作品群の中から一般劇場用映画、ドキュメンタリー、人権啓発映画などを集めて上映する。
Aプログラム
「1968大阪の夏 反戦の貌」
(1968/40分/16mm)
スタッフ:江副宣昭、鈴木功、大庭伸一、坂田実、山崎義大、牧逸郎、大野長八、福島洋、小倉邦夫、堀純一、安西清尚、竹本敦子、加藤勝美、斉藤健男、安達弘太郎、新田三郎、北の間敢、康浩郎、黒田道粂、藤原幸夫、西野健 制作:「大阪の夏」製作団、大阪自主映画センター
70年安保闘争前夜、カルチェラタン闘争をはじめとする世界的な学生運動に呼応する形で結成された「大阪自主映画センター」制作作品。国際反戦デーに向かって盛り上がった闘争過程を、その内部の矛盾を含めてドキュメントしようとしたもの。康浩郎が主宰し、センターに集まった100人近いスタッフによる集団制作を目指した。牧さん自身は、「この頃はまだペーペーだった」と語っていた。
「京都鬼市場 千年シアター」
(1987/18分/16mm)
製作:小川プロダクション 監督:小川紳介 撮影:牧逸郎
1987年の夏、京都五条千本の空地に出現した「鬼市場」。大駱駝艦の興行と、『1000年刻みの日時計』長期上映が実現した。上映が終盤に近づいた頃、小川紳介はこの上映を記録しようと思い立ったが、あいにく小川プロの機材やスタッフ(田村正毅、菊池信之)がふさがっていたため、関西でスタッフと機材を調達することになった。映像グループ翔の会からミニ・エクレールを借り、牧逸郎キャメラマンのボランティア参加を得て急遽撮影してまとめ上げた。現場録音は小川自身が、カチンコは安井(当館館長)が担当している。
Bプログラム
「足の裏から冥王まで」
(1979/70分/16mm)
製作:竹馬企画、フィルムジャック 
製作:森重晃 企画:劇団日本維新派 監督:井筒和生 助監督:西村隆、浜田昌憲 撮影:牧逸郎、福島洋 音楽:福島洋 出演:劇団日本維新派
劇団日本維新派(後に劇団維新派と改称)による1978年の同名公演を記録したドキュメンタリー。スタッフには後に有名になる井筒和生(和幸)、森重晃、西村隆など当時の関西の映画好きが集まっている。
 [コメント]
 丸太三千本の野外劇場の夜空には小雪が舞い、
 素裸で舞台を駆け回る私たちを、
 牧さんのキャメラが挑むように追ってくるのが何かあたたかく感じられました。

   維新派 松本雄吉 
 
 
Cプログラム
「真夏の少年」
(1991/90分/35mm/ビスタ)
製作:野村企画 製作:足立源一郎 監督:野村恵一 脚本:中村努、野村恵一、小笠原恭子、松下裕治 撮影:牧逸郎 音楽:京建輔 照明:中田秀 編集:谷口登司夫
出演:江口洋介、車和也、キューティー鈴木、白川和子、汐路章、小柳みゆ
高校野球に沸き立つ海辺の町。東京から帰省した兄とその恋人の存在に心が揺れる少年の一夏を描く。江口洋介の初主演映画としても話題となった。
Dプログラム 特別有料試写
「地球のヘソ」
(2007/73分/DVD)
製作:『地球のヘソ』製作委員会(元気な事務所) 監督:東郷一重  脚本:三倉剛 撮影:牧逸郎
出演:山内明日、 J.A.T.D.にしゃんた、谷口高史、国木田かっぱ、世弥喜久代、ジェフ・バーグランド、ゾマホン・ルフィン
2057年、パスポート不要の自由往来特区に指定された京都に世界中から外国人がやってきて、観光都市として活況を呈する。やがて彼らは日本人以上に日本人らしく暮らしはじめ・・。そんな外国人と日本人少女との交流を描いた近未来劇。牧キャメラマン最後の作品で、京都を除く地域での先行試写となる。
Eプログラム
「宮大工 西岡常一の仕事 ~木の文化の本質をめぐって~」
(1992/83分/DVD)
プロデューサー:高村武次、山崎佑次 撮影:牧逸郎
ナレーション:伊藤惣一 構成演出:山崎佑次
法隆寺昭和の大修理の最初から携わり、金堂・五重塔が完成するまで棟梁として修理に従事し、薬師寺金堂を復興した宮大工として有名な西岡常一(1908-1994)。2008年に当館で上映した『西岡常一 社寺建築講座』全4部に先立って制作された作品。
Fプログラム
「のんけ」
(1997/60分/35mm/ビスタ)
製作・配給:ENKプロモーション
監督:剣崎譲 撮影:牧逸郎 脚本:岡輝男
出演:佐賀照彦、小澤義明、大木裕之、岬カオル
揺れ動くゲイの心理を丹念に描き、雑誌「薔薇族」で大絶賛の評価を得たゲイ映画の名作。「あなたがすきです、だいすきです」などの大木裕之監督が出演している。
Gプログラム ※上映後トーク:安東民兒
「ある日チビがいたよ」
(1997/25分/16mm)
プロダクション:(株)文化科学研究所 監督:三原光尋 プロデューサー:西村隆 原作:山下亜津紗 脚本:三原光尋、高橋智紀 撮影:牧逸郎
出演:梅林亮太、六車奈々、大西さちこ、鴨鈴女
恐竜の化石発掘で有名な福井県勝山市が主催している「恐竜文化賞」に入選した兵庫県姫路市の小学生の作文が原作。少年が恐竜に励まされて「いじめ」に立ち向かってゆくストーリーで、『足の裏から冥王まで』の助監督経験もあるプロデューサーの西村隆が大阪芸術大学出身の三原光尋監督を起用して映画化。
「風の中のスクラム」
(1996/53分/16mm)
製作:虹映社 監督:西森康友 脚本:安東民兒 撮影:牧逸郎 音楽:佐野芳彦 録音:田代博司 編集:藤原公司 プロデューサー:安東民兒 製作:川口行雄
出演:茂山逸平、田中規子、友里千賀子、岸辺一徳、他
高校ラグビー部を舞台に「無意識の差別観」がどれだけ人を傷つけ、心を踏みつけるものかを、多感な青春群像に重ねて描いた青春映画(人権啓発教育映画)。『蓮如とその母』(川本喜八郎の人形アニメ)のプロデューサーとしても知られる安東民兒さんが来館。牧さんのエピソードを語る。
 
 
Hプログラム ※上映後トーク:芦屋小雁
「それぞれの明日」
(2000/50分/16mm)
製作:(株)京都放送滋賀支社 監督:芦屋小雁 プロデューサー:安井喜雄 脚本:松下隆一 照明:田川聖二 撮影:牧逸郎
出演:谷口高史、杉田かおる、白木順子、マイケル松本、赤井英和、島田順司、芦屋小雁、沢田雅美 
企業における同和問題に関する職場研修を題材にしながら、在日外国人・障害者に関する問題について、また、職場における人間関係の在り方や人権教育の推進の在り方について考えさせる作品。神戸映画資料館名誉館長でもある芦屋小雁の初監督作品で、自ら率いる「小雁倶楽部」やその人脈で集まったキャスティングによりユニークな人権映画となった。上映当日は、芦屋小雁監督が来館し、撮影当時のエピソードを語る。
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き

 
 
[関連イベント] 座談会[牧キャメラマンを偲ぶ]


若松孝二が描いた日本の革命
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」「赤軍ーPFLP・世界戦争宣言」

2009年2月27日(金)〜3月1日(日)
Aプログラム
「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」
(2007/190分/DVCAM)
製作:『実録・連合赤軍』制作委員会 製作・監督:若松孝二 音楽:ジム・オルーク 企画・構成:若松孝二、掛川正幸 脚本:若松孝二、掛川正幸、大友麻子 撮影:辻智彦、戸田義久 美術:伊藤ゲン
出演:坂井真紀、ARATA、地曵豪、並木愛枝、佐野史郎、奥貫薫、大西信満、中泉英雄、伊達建士、伴杏里
1960年代から70年代にかけて日本の体制を揺るがせた学生運動は、連合赤軍が占拠した「あさま山荘」で終わりを告げた。あの時代に、何が起きていたのか。革命戦士を志した若者たちは、なぜ、あそこまで追いつめられていったのか。なぜ、同志に手をかけたのか。なぜ、雪山を越えたのか。なぜ、山荘で銃撃戦を繰り広げたのか。
あさま山荘へと至る激動の時代を、鬼才・若松孝二が描いた本作は、2008年の日本映画ベストテンで、「キネマ旬報」第3位、「映画芸術」第2位を獲得。
Bプログラム
「赤軍ーPFLP・世界戦争宣言」
(1971/71分/DVD[オリジナル16mm])
製作:若松プロダクション 監督:若松孝二、足立正生 共同編集:赤軍(共産主義者同盟赤軍派)、PFLP(パレスチナ解放人民戦線)
カンヌ映画祭への帰途でベイルートへ向かった若松孝二と足立正生が、PFLP、赤軍と共闘し、パレスチナゲリラの「日常」を写したドキュメンタリー。世界革命のためのニュースフィルムであることを目指すため、既存の劇場公開を拒否し、全国各地の大学や工場などで独自の上映運動が行われた。「あさま山荘」で銃撃戦が起きる5ヶ月前に公開された。
オリジナルの16ミリフィルムの状態が悪いため、DVDでの上映です。ご了承ください。
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』のメイキング映像を併映。
 
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般:1300円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円

《割引》
2プロ目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。