プログラムPROGRAM
2009 10

60年代・独立プロ伝説 西原儀一と香取環 後編
2009年10月2日(金)〜4日(日)
前編 9月11日(金)〜13日(日)

「西原儀一監督作品ポスター展」開催(東舎利樹コレクション):上映室にて

 2002年10月東京・BOX東中野で盛り上がった西原儀一監督特集上映からすでに7年が経った。その著書「やくざ監督東京進出」(ワイズ出版)の出版記念上映は、東京のあと大阪でも企画されたが実現しなかったので、今回が関西初上映となる。
 西原儀一は宝塚映画、歌舞伎座映画、松竹京都、毎日放送映画部、NHK大阪放送局と関西で活躍の後、葵映画に転じて60年代ピンク映画の躍動期に活躍した根っからの活動屋である。香取環は、日活から大蔵映画(今は幻の映画『肉体の市場』に主演)などを経て葵映画の専属となり、映画史上の輝ける存在だった。
 大阪で出版された「ピンク映画水滸伝」(青心社)の著者でありルポライターの鈴木義昭氏が近年、西原儀一監督や香取環を訪ね、その記録が「映画秘宝」などに掲載されるなど、再評価の気運が高まっている。
 鈴木義昭氏のお話の他、監督作品のポスター展も同時開催するのでお見逃しなきよう。なお、監督名の千葉隆志は、西原儀一の別名である。 
「狙う」
(葵映画/1967/57分/16mm/トリミング版)
監督:西原儀一 脚本:平岡一郎 撮影:芦田勇
出演:香取環、椙山拳一郎、鶴岡八郎、野上正義
 
厳寒の雪山で犯される、初代「ピンクの女王」香取環。雪の中の熱演に度肝を抜かされる。大金を横取りした三人の男と一人の女、そして死んだはずの男までが…。「葵映画」を率いて成人映画界に旋風を巻き起こした西原儀一監督が、俳優たちを遊ばせ即興的に撮った。
著書の発言「一字も書いていない白紙のシナリオで撮った作品です。クランクインするまで誰かに脚本を書かしてやろうと思ってた。扇ひろ子のシリーズを日活で何本か撮ってる。あのシリーズをずっと書いてた脚本家の人がいいんじゃないかと。わしもいっぺんああいうの撮りたいと。香取に、こういう女ヤクザのものを撮りたいと言ったら、乗りよったんです。」
 
 
「肉体の誘惑」
(葵映画/1967/60分/16mm/トリミング版)
監督:西原儀一 脚本:原創一、西原儀一 撮影:池田清二
出演:香取環、森三千代、千月のり子、野上正義
 
夜の生活に不満を持つ妻と長い海外出張に旅立つ夫。しのび寄る男たちの誘惑に耐え切れず、堕ちていくその先は…。清楚だが妖艶な人妻を、熱演する香取環の美しさが眩しい。野上正義、港雄一の若々しい演技に注目。西原儀一と香取環、コンビワーク絶頂期の佳作。
著書の発言「松竹大船調のメロドラマ。これがひとつ物足りなかったんです。映画はアクションという、アクション感覚ですよ。銀座四丁目も撮ってますよ。銀座なんかはだいたい撮れないとこなんです。うちは許可が出たんです。絶対に迷惑かけないから。「撮影してるのを気がつかないように撮るからいっぺん見てくれ」と言うて、警察からも来てもらって。それで警察の人間がついて銀座を撮影しました。」
 
 
「桃色電話 (ピンクでんわ)」
(葵映画/1967/60分/16mm/トリミング版)
監督:西原儀一 脚本:久木登、西原儀一 撮影:池田清二
出演:香取環、松井康子、清水世津、千月のり子
ある日、ポン引きの拳に付いて来た薄汚れた友子。少し頭の弱い彼女は、いつも失敗ばかりするが、憎めない。日活撮影所出身の香取環はコミカルな演技もお得意。流行のデートクラブの実態を描写して、香取と椙山拳一郎の絶妙演技で心和ませる傑作お色気コメディ。
 
 
「引裂れた処女」
(葵映画/1968/72分/16mm/パート・カラー/シネスコ)
監督:西原儀一 脚本:千葉隆志 撮影:池田清二
出演:香取環、白川和子、清水世津、中尾有理
 
清純で健康的なホステスの雅美は結婚を申し込まれる。男の実家があるという温泉町へと連れられて行くが、待っていたのは女の生き血を吸う売春組織だった。壮絶な地獄絵図の中で「女王」香取環がもがく。「団地妻」以前の白川和子が盲目の少女で登場するのも必見。
著書の発言「(白川和子は)お茶くみやったりしてましたね。役者希望だというのを聞いて、それじゃ芝居の勉強をしなさいと。それで、香取につけてやったら、あの子は上手だからいい勉強になるということで、付き人になったんです。」
 
   

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般:1000円 学生・シニア:900円
会員一般:900円 会員学生・シニア:700円

《割引》
2本目は200円引き

[関連イベント] トークイベント「独立プロと西原儀一’60年代の夢」
ゲスト:鈴木義昭(ルポライター)
(後編のイベントは10/3土のみです)


関西連続公開!「あんにょん由美香」
10月2日(金)〜6日(火)18:45〜
「あんにょん由美香」
(2009/119分/DV)
演出・構成:松江哲明 編集:松江哲明、豊里洋 
構成協力:向井康介 音楽:豊田道倫
挿入曲:『ほんとうのはなし』(唄:川本真琴)
    『さよならと言えなかった』(唄:豊田道倫)
プロデューサー:直井卓俊 撮影:松江哲明、近藤龍人、柳田友貴
制作・配給・宣伝:SPOTTED PRODUCTIONS 配給協力:インターフィルム
製作:『あんにょん由美香』フィルムパートナーズ
出演:林由美香、ユ・ジンソン、入江浩治、キム・ウォンボギ、カンパニー松尾、いまおかしんじ、平野勝之、柳下毅一郎、中野貴雄、野平俊水、華沢レモン、柳田友貴
 
[公式サイト]
 
2005年に急逝した女優・林由美香の全記録をまとめた書籍『女優 林由美香』によって、彼女が主演した謎の韓国産ビデオ作品が発掘された。作品名は『東京の人妻 純子』。林由美香の生前にきちんと仕事をする機会を得られなかったドキュメンタリー監督松江哲明は「すごく間違っている」けど「何だかキュート」な同作品に惹かれ、その謎を追うべく取材を開始する。同時にかつて林由美香の代表作を撮った3人の監督(平野勝之、カンパニー松尾、いまおかしんじ)らと撮影現場を訪れ、林由美香の幻を追う松江。やがて林由美香と一本のビデオを巡る冒険は、日韓の国境を越え、元来出会うはずのなかった人々を巻き込み、全く新たな物語を作り上げてゆく…!
前作『童貞。をプロデュース』が記録的な大ヒットとなった松江哲明が3年間に及ぶ制作期間を経て、渾身の最新作を完成させた。人気ミュージシャン豊田道倫が音楽を手がけ、川本真琴をヴォーカルに起用し、松江の「想い」をバックアップ。愛され続ける女優・林由美香、奇跡の最新主演作がここに登場した!
 

《当日料金》
一般:1500円 学生・シニア:1000円
会員一般:1000円 会員学生・シニア:900円

 
シネ・ヌーヴォX、プラネット・プラス・ワン、神戸映画資料館
3館共通前売り券発売中


1920年代のドイツ映画 Part1
2009年10月9日(金)〜12日(月・祝)
Part2 11月20日(金)〜23日(月・祝)
第一次大戦後、視覚芸術としての映画が大きく花開いた1920年代のドイツ。世界中の映画に影響を与え、その後ジャンルとして発展していくSF、ホラー、アヴァンギャルド、ファンタジー、モンスターなど、すべての映画の出発点がここにあります。
「最後の人」Der Letzte Mann
(ドイツ/1924/111分[16fps]/サイレント/16mm)
監督:F. W.ムルナウ 脚本:カール・マイヤー  撮影: カール・フロイント
出演:エミール・ヤニングス、マリー・デルシャフト、マックス・ヒラー
後にアメリカに招かれ『サンライズ』(1927)などの傑作を手がけるムルナウのドイツ時代の代表作。ホテルのドアマンが高齢のためにトイレ番にされてしまう悲哀を、ほとんど字幕を排して映像のみで描く。
「メトロポリス」Metropolis
(ドイツ/1927/97分[16fps]/サイレント/16㎜)
監督:フリッツ・ラング 原作・脚本:テア・フォン・ハルボウ 撮影:カール・フロイント、ギュンター・リッタウ 特殊撮影:オイゲン・シュフタン 美術:オットー・フンテ、エリック・ケテルフート、カール・フォルブレヒト 
出演:ブリギッテ・ヘルム、アルフレッド・アベル、グスタフ・フレーリッヒ、ルドルフ・クライン=ロッゲ
未来都市を扱ったSF映画の傑作。圧政が支配する未来社会、ロボットのマリアが虐げられた労働者を革命へと扇動する。その様式化された都市造形は圧巻。
 

「伯林(ベルリン)—大都会交響楽」Berlin-Die Sinfonie einer Grosstadt
(ドイツ/1927/24分[16fps]/短縮版/サイレント/16mm)
監督:ワルター・ルットマン 原案:カール・マイヤー 脚本:カール・フロイント 撮影:ライマール・クンツェ、ロベルト・ババースケ、ラスロ・シェーフ
大都会ベルリンの早朝から深夜までの一日を様々な断片の積み重ねによって描く。「音楽派映画」「純粋映画」とも分類される記録映画。今回上映するのは短縮版である。
 
「マッターホーン」Der Kampf ums Matterhorn
(ドイツ/1928/36分[16fps]/短縮版/サイレント/16mm)
監督:マリオ・ボンナルド、ヌンツィオ・マラソンマ 原作:アーノルト・ファンク 脚本:ヌンツィオ・マラソンマ 撮影:ヴィリー・ヴィンターシュタイン、ゼップ・アルガイアー
出演:ルイス・トレンカー、マルチェラ・アルバニ、クリフォード・マクラグレン
二人の登山家の冒険と、女性との三角関係をからめた山岳映画。
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き


[貸館]神戸芸術工科大学 アスタ・アニメ上映会
2009年10月17日(土)17:00〜
10月から毎月1回(来年3月まで:予定)神戸映画資料館でアニメ上映会を開催します。第1回目は、地元、長田区で横山光輝原作の「鉄人28号モニュメント制作」を行われているKOBE鉄人PROJECTとの連携により、テレビ版「鉄人28号」の1話、2話を上映予定しております。
第2回目以降も、子どもたちに人気のあるアニメを上映したいと思っていますのでご期待ください。
 
テレビ版『鉄人28号』第一話・第2話(DVD上映)
 
主催:神戸芸術工科大学
協力:エイケン、KOBE鉄人PROJECT
   

《料金》無料


[貸館]SANAフィルムフェスタ「マスメディアが伝えないイラクがここにある」
2009年10月18日(日)14:00〜
 「SANA(光)衛星テレビ」は、世界から募金が集められ、イラクの市民メディアとして2007年4月に誕生しました。自由平等で平和なイラクの再建をめざす「イラク自由会議」が番組制作・運営を行い、民衆の文化、労働、教育、女性、子どもなどをテーマにニュース映像やドキュメンタリー番組などを放送しています。
 「イラク平和テレビ局inJAPAN」は、その番組を日本で観られるように翻訳・吹き替えしインターネット配信をしていますが、より多くの方々ご覧いただく機会として「SANAフィルムフェスタ」を開催しています。
 マスメディアが伝えないイラクを知り、戦争のない社会をつくるためのオリジナルな映像を発信し、交流する場です。
 
『アメリカ帰還兵イラクに誓う』(制作:マブイ・シネコープ)
 「許しを請うのではなく……」
 「イラクの人々と直接連帯できることがわかった。これをみんなに伝えたい」
 2003年アメリカ陸軍兵士としてイラクに派遣されたアーロン・ヒューズは、そこで多くの不正義と、人間破壊の現場を目の当たりにする。
 2001年9月11日、ニューヨークで起こったテロ事件を見て、T・Jブオノモは「自分たちの国が攻撃されている、米国を守らなければならない」と軍隊に入隊する。が、イラク戦争に反対の声を上げ2007年除隊させられる。
 IVAW(反戦イラク帰還兵の会)で活動していた彼らが、2009年3月再びイラクを訪れた。
 抑圧ではなく、戦争と占領を終わらせるため、イラクそして世界の人々とともに歩んでゆく決意を彼らは語る。
 元占領軍兵士のことばは、イラクの人々にどのように響くのだろうか。
*参考『アメリカ帰還兵(IVAW)イラクに誓う』上映運動のページ
[同時上映]サナ衛星テレビ番組より『ジャーリード地区の人々〜イラク国内難民は訴える〜』
 
主催:イラク平和テレビ局 in Japan・兵庫
  (連絡先)黒川 078-784-2430  安東 090-3828-9579
   

《料金》大人1000円 シルバー/学生/障がい者500円


タカシ時間 vol.1
10月18日(日)18:30
夢もみないで (2005/18分)
伊丹2005年夏 (2005/24分)
新長田2007年8月ー12月 (2007/23分)
2005年12月から東京茅場町のギャラリーマキでスタートした新作上映会「季刊タカシ」は、今年11月で第10回を数えます。神戸の「タカシ時間」では、映像作家・崟利子がこれまで作りためた作品を新たな組み合わせでごらんいただきます。
タカシ作品に寄せられた言葉 >>>
「タカシさんが撮ると2006年の夏は二度とこないのだなあという気持ちになれます」渡辺さん
「何もない?というものを撮るということができる人という発見」波多野さん
「いつも私が人世かけて知ろうとしている事(場所みたいな)、でも本当は昔からしってる事みたいなところへつれていかれます」稲田さん
   

《会費》1500円

 協力:ギャラリーマキ


日本映画名画鑑賞会
2009年10月25日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。