プログラムPROGRAM
2009 11

世界のドキュメンタリー
2009年10月31日(土)〜11月3日(火・祝)
世界のドキュメンタリー映画史上必見の作品を集めて一挙上映。フランク・キャプラの「なぜ我々は戦うのか」シリーズや、ヨリス・イヴェンスが関わった『汝の敵日本を知れ』など上映の機会が少ない作品も含まれていますので、この機会にぜひドキュメンタリー映画の歴史に触れてください。
Aプログラム
「セイロンの歌」Song of Ceylon
(イギリス/1934/38分/16mm/日本語字幕無し)
監督:バジル・ライト
『流網船』『住宅問題』などとともにジョン・グリアスンを中心にした英国ドキュメンタリー映画運動の代表作のひとつ。この映画はスポンサーであるセイロン紅茶宣伝局の意向を汲みながら、詩的な感性でセイロン(現在の国名はスリランカ)の魅力に迫る。
「河」The River
(アメリカ/1937/32分/16mm/日本語字幕無し)
監督:ペア・ロレンツ
ニューディール政策映画。1902年から1937年にかけての、ミシシッピ川の浸食と洪水の歴史を、当時のニュース映像の一部を挟み込みながら、今までの問題点とこれからの解決策を見事な編集技法で詩的に見せる。ヨリス・イヴェンスに「アメリカで最初に作られたすぐれたドキュメンタリー映画」と言わしめた作品。
 
『Why We Fight (なぜ我々は戦うのか)』シリーズ 
Bプログラム
「ザ・バトル・オブ・ブリテン」The Battle of Britain シリーズ第2作
(アメリカ/1943/54分/16mm/日本語字幕無し)
監督:フランク・キャプラ
 
Cプログラム
「ザ・バトル・オブ・ロシア」The Battle of Russia シリーズ第3作
(アメリカ/1943/83分/16mm/日本語字幕無し)
監督:フランク・キャプラ、アナトール・リトヴァク
Dプログラム
「ザ・バトル・オブ・チャイナ」The Battle of China シリーズ第6作
(アメリカ/1944/65分/16mm/日本語字幕無し)
監督:フランク・キャプラ 

アメリカの第二次世界大戦参戦直後、アメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルはフランク・キャプラに軍用教育映画シリーズの製作を要請した。この『Why We Fight (なぜ我々は戦うのか)』シリーズはアメリカでは教育のため軍人に対し広く上映され、非常に多くの人間が視聴した最高傑作だとされている。中でも6作目の『ザ・バトル・オブ・チャイナ』は、シリーズ7作中で唯一、アジアでの戦闘を題材にしたもので、1944年にアメリカで一般に劇場公開されたが、1928年製作のソ連映画『上海ドキュメント』の映像を使用するなど、現実とは異なった映像が挿入され、後に物議を醸すことになった。

 
Eプログラム
「汝の敵日本を知れ」Know Your Enemy : JAPAN
(アメリカ/1945/63分/16mm/日本語字幕無し)
監督:フランク・キャプラ、ヨリス・イヴェンス
第二次大戦中に作られたアメリカの対日本プロパガンダ映画で、各種日本映画の場面をモンタージュして、日本人の生活や考えを説明している。ヨリス・イヴェンスは自伝で「われわれが最初に作ったオリジナルは上映時間4時間のもので、それをワシントンのアメリカ陸軍参謀本部に発送したところ、付箋つきで戻ってきた。いわく──『参謀本部は、映画製作担当者の趣旨には賛成できない』。彼らは、日本の天皇がヒットラー同様に戦争犯罪人として扱わるべきだというわれわれの意見に異議をとなえたのだ。この作品は結局完成しなかった・・・。」と書いている。
Fプログラム
「ゲルニカ」Guernica
(フランス/1950/13分/16mm/英語発声/日本語字幕無し)
監督:アラン・レネ
スペイン内戦時、ドイツ軍の激しい空襲を受けたバスク地方ゲルニカ。その悲惨な様子を描き表したピカソの絵画『ゲルニカ』などを細分化して撮影し再構成した絵画ドキュメンタリー。オリジナルは仏語版だが英語版で上映。
 
「夜と霧」Nuit et Brouillard
(フランス/1955/32分/16mm/仏語発声・英字幕/日本語字幕無し)
監督:アラン・レネ
第二次世界大戦中、ナチがアウシュヴィッツのユダヤ人強制収容所でユダヤ人を虐殺したホロコーストを告発したドキュメンタリー映画。当時新進気鋭のアラン・レネ監督が昔のモノクロの映像と新撮のカラー映像を巧みに編集した作品で、カンヌ映画祭でジャン・ヴィゴ賞を受賞するなど斬新な映画として評価された。
 
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き


プラネット・アーカイヴズ 3
文化教育映画に見る“昭和” 工業とゴミ篇
【プラネット・シネマテーク】
2009年11月7日(土)・8日(日)
神戸映画資料館は、大阪のプラネット映画資料図書館が長年収集してきたフィルムなどの映画資料を収蔵管理しています。これらのフィルム整理作業と並行して上映を行っていこうというのが、この「プラネット・アーカイヴズ」です。
第3回目は、「工業とゴミ」をテーマに1950年代後半から60年代の教育広報映画を集めました。
Aプログラム4本立て
「日本の工業地帯」
(1958/20分/16mm)監督:西沢豪 撮影:橋本正
 
「日本の四大工業地帯」
(1958/20分/16mm)
 
「大気汚染と騒音」
(1967/22分/16mm)
 
「総合開発」
(1961/20分/16mm)監督・脚本:西本祥子 撮影:坂崎武彦
 
Bプログラム3本立て
「し尿のゆくえ」
(1960/27分/16mm)監督:荒井英郎 製作:小山誠治 脚本:本田部任正 撮影:水上正夫
 
「ゴミと生活」
(1960/20分/16mm)製作:小山誠治 脚本:草間達雄 撮影:中島彰莞
 
「ごみ」
(1965/31分/16mm)
  

《会費》
1プログラムあたり
会員900円 学生会員・シニア会員700円
《割引》
2プログラム目より200円引き


[貸館]神戸芸術工科大学 アスタ・アニメ上映会
2009年11月14日(土)17:00〜
10月から毎月1回(来年3月まで:予定)神戸映画資料館でアニメ上映会を開催します。
第2回目以降も、子どもたちに人気のあるアニメを上映したいと思っていますのでご期待ください。
 
主催:神戸芸術工科大学
   

《料金》無料


日本映画名画鑑賞会
2009年11月15日(日)
上映作品は、当日のお楽しみとさせていただきますが、選りすぐりの傑作・名作を揃えて上映しますので、どうぞご期待ください。
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、上映1週間前より電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》
一律500円


「レイ、初めての呼吸」神戸上映会
2009年11月14日(土)13:00〜16:00 上映および監督挨拶
       11月15日(日)18:30〜 上映および監督挨拶


“Great performances.”  「迫真の演技」 –  Chicago Tribune シカゴトリビューン紙
“An auspicious debut.” 「衝撃的なデビュー作」 –  Chicago Sun-Times シカゴサンタイムス
“An astute psychological drama. Beautifully shot. Wonderful acting.“ 
「鋭い心理ドラマ、美しい映像、素晴らしい演技」  –  Chicago Public Radio シカゴラジオ放送
 
『レイ、初めての呼吸』The First Breath of Tengan Rei
(2008/75分/HD[Betacam上映])
製作:ホームシックブルースプロダクション
制作・脚本・監督: 梶野純子&エド コジアスキー
プロデューサー:小出正之、梶野夕子  撮影:ステファン コムズ
編集:クリストファー ボスカーディン  美術:デイビッド クリストファー クラウス
音楽・音響:マーク メッシング、ルー・マロッティー
出演:エリカ、カトリ イーソン、ショーン ニックス、リック オーサー
 
 ある夏の沖縄、16歳の少女レイは米兵2人に暴行を受ける。
10年後、レイは自分の中に宿る深く重い何かを取り除くため、アメリカに帰国した兵士に対面しに行く…その過程でレイは、何も知らない兵士の息子パリスに出会い、父親と瓜二つのパリスを誘拐してしまう。
 ストーリーはレイと少年パリスに焦点を当てる。傷を負ったレイと、何も知らない兵士の純粋な息子パリスが過ごす複雑な時間と、レイがたどり始める人間回復、レイとパリスの近くとも遠い関係が徐々に収縮して行く、その瞬間を映し出す。そしてレイが自身の経験を少年パリスに伝え、真正面から向き合う様子が、美しい沖縄の自然とともに迫真の演技で表現される。この映画は、何の共通点もないかのように見える二人が、異文化と悲しい過去を、ともにぶつかり合いながらも乗り越えようとする物語でもある。
 
監督からのメッセージ
 主人公レイは、生まれ変わりたい一心で「呼吸」をします。その最初の呼吸を求め続けるレイの姿が、少年 パリスに伝わっていきます。兵士とその犠牲者の間に立ちはだかる大きな壁を一人で乗越え、壊そうとするレイ。それは世界中で毎日繰り返される「悪い循環」を断ち切りたいという彼女の願いであり、次の世代への訴えでもあります。
 お互いの理解があれば、その壁はもっと低くなるはず。自分に起こった苦痛にフタをすることをやめたレイが、それを次の一歩に繋げるために必死で伝えようとし、それを受け止める兵士の息子。レイは少年パリスに自分の経験を伝えようとすることを通して、兵士の育った環境、文化をも経験します。それは、過去の出来事、そしてただただ怖ろしく憎かった兵士を一人の人間として知ることにもつながっていくのです。
 レイの「呼吸したい」という衝動によって、10年前の悲しい事件に真剣に向き合うことになった3人は、それぞれがそれぞれの成長への一歩を踏み出すことになります。「表現すること」が対話を生み、悲しい過去を乗り越える次のステージに進む原動力になるのだと思います。
 
[公式サイト]
   

《料金》一般1200円 学生・シルバー1000円


1920年代のドイツ映画 Part2
2009年11月20日(金)〜23日(月・祝)
Part1 10月9日(金)〜12日(月・祝)
第一次大戦後、視覚芸術としての映画が大きく花開いた1920年代のドイツ。世界中の映画に影響を与え、その後ジャンルとして発展していくSF、ホラー、アヴァンギャルド、ファンタジー、モンスターなど、すべての映画の出発点がここにあります。
「カリガリ博士」Das Kabinett Des Dr. Caligari
(ドイツ/1919/76分[16fps]/サイレント/16mm)
監督:ロベルト・ヴィーネ 脚本:カール・マイヤー、ハンス・ヤノヴィッツ 撮影:ヴィリー・ハマイスター 美術:ヴァルター・レーリッヒ、ヴァルター・ライマン、ヘルマン・ヴァルム
出演:ヴェルナー・クラウス、コンラート・ファイト、リル・ダゴファー
ドイツ表現主義映画の最初の代表作であり、アヴァンギャルド映画の出発点ともいえる作品。遠近法に逆らった歪んだセットデザインの中、カリガリ博士が催眠術による犯罪を行う。
「吸血鬼ノスフェラトゥ」Nosferatu – Eine Symphonie Des Grauens
(ドイツ/1922/93分[16fps]/サイレント/16mm)
監督:F. W.ムルナウ 原作:ブラム・ストーカー 脚本:ヘンリク・ガレーン 撮影:フリッツ・アルノー・ヴァグナー 美術:アルビン・グラウ
出演:マックス・シュレック、アレクサンダー・グラナッハ、グスタフ・フォン・ヴァンゲルハイム、グレタ・シュローダー
怪奇映画の古典にしてドラキュラ映画の原点。この後、『最後の人』(1924)、『ファウスト』(1926)、『サンライズ』(1927)などの傑作を残し42歳で逝去したムルナウの代表作の1本である。
 
「ニーベルンゲン 第一部 ジークフリート」Nibelungen I Siegfried
(ドイツ/1924/135分[16fps]/サイレント/16mm)
監督:フリッツ・ラング 脚本:テア・フォン・ハルボウ 撮影:カール・ホフマン、ギュンター・リッタウ 音楽:ゴットフリート・フッペルツ 美術:オットー・フンテ
出演:パウル・リヒター、マルガレーテ・シェーン、ハンナ・ラルフ、ゲルトルート・アルノルト、テオドア・ロース
「ジークフリート」と「クリームヒルトの復讐」の二部からなる超大作『ニーベルンゲン』。今回は、第一部の「ジークフリート」のみを上映する。ゲルマン古代の叙事詩にもとづき、ラングの妻であったテア・フォン・ハルボウ(後にナチス支持者となりラングと離婚)が脚本化した。人工的な森と巨竜の造形が神話的な世界を創造している。ナチスの宣伝大臣ゲッペルスが、古典を現代に甦らせた作品として絶賛したという。
 

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
2プログラム目は200円引き


[貸館]SANAフィルムフェスタ「マスメディアが伝えないイラクがここにある」
2009年11月29日(日)14:00〜
 「SANA(光)衛星テレビ」は、世界から募金が集められ、イラクの市民メディアとして2007年4月に誕生しました。自由平等で平和なイラクの再建をめざす「イラク自由会議」が番組制作・運営を行い、民衆の文化、労働、教育、女性、子どもなどをテーマにニュース映像やドキュメンタリー番組などを放送しています。
 「イラク平和テレビ局inJAPAN」は、その番組を日本で観られるように翻訳・吹き替えしインターネット配信をしていますが、より多くの方々ご覧いただく機会として「SANAフィルムフェスタ」を開催しています。
 マスメディアが伝えないイラクを知り、戦争のない社会をつくるためのオリジナルな映像を発信し、交流する場です。
 
『アメリカ帰還兵イラクに誓う』(制作:マブイ・シネコープ)
 「許しを請うのではなく……」
 「イラクの人々と直接連帯できることがわかった。これをみんなに伝えたい」
 2003年アメリカ陸軍兵士としてイラクに派遣されたアーロン・ヒューズは、そこで多くの不正義と、人間破壊の現場を目の当たりにする。
 2001年9月11日、ニューヨークで起こったテロ事件を見て、T・Jブオノモは「自分たちの国が攻撃されている、米国を守らなければならない」と軍隊に入隊する。が、イラク戦争に反対の声を上げ2007年除隊させられる。
 IVAW(反戦イラク帰還兵の会)で活動していた彼らが、2009年3月再びイラクを訪れた。
 抑圧ではなく、戦争と占領を終わらせるため、イラクそして世界の人々とともに歩んでゆく決意を彼らは語る。
 元占領軍兵士のことばは、イラクの人々にどのように響くのだろうか。
*参考『アメリカ帰還兵(IVAW)イラクに誓う』上映運動のページ
[同時上映]サナ衛星テレビの新番組より予定
 
主催:イラク平和テレビ局 in Japan・兵庫
  (連絡先)黒川 078-784-2430  安東 090-3828-9579
   

《料金》大人1000円 シルバー/学生/障がい者500円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。