プログラムPROGRAM
2011 1

高橋克彦ミステリーコレクション
「オボエテイル」

2011年1月8日(土)〜11日(火)
2005年の作品完成後、
製作会社の諸事情から公開が凍結されていた
まぼろしのオムニバス映画が、遂に緊急公開!

 おぼえているけれど
 たぶんそれは自分に都合よく歪めた記憶
 本当のことはきっとちがうんだろう。
  ——— 高橋克彦

作家・高橋克彦の直木賞受賞作を含む、
傑作ミステリー3編を映画化!

 
(2005/125分/HD[ブルーレイ上映])
原作:高橋克彦 撮影:猪本雅三 美術:黒須康雄 照明:赤津淳一
音楽:上田砂代子 編集:普嶋信一 録音:松本昇和
第1話「遠い記憶」
監督・脚本:芳田秀明
出演:村上淳、麻生祐未、浅井江理名、
鈴木颯人、吉田日出子
新進作家の倉本雄二(村上淳)は母の明子(吉田日出子)と2人暮らし。テレビの取材で盛岡の行き、スナックに勤める相沢世里子(麻生祐未)という謎の女性に出会い、子どもの頃の記憶が突然甦る。彼女はいったい誰なのか…。
第2話「前世の記憶」
監督:明石知幸 脚本:久保朝洋
出演:中村美鈴、葛山信吾、結城しのぶ、
島かおり、篠井英介
藤山修子(中村美鈴)はひどい頭痛に悩まされていた。恋人の青柳(葛山信吾)の勧めから、精神科で治療を始める。退行睡眠で甦った記憶が、修子を前世の恐怖へと導いていく…。精神科医役の篠井英介の存在感と昭和時代のミューズ・島かおりと結城しのぶに注目!
第3話「緋い記憶」
監督・脚本:久保朝洋
出演:香川照之、光石研、柄本時生、
渡辺真起子、螢雪次朗
東京でデザイン事務所を経営する山野良彦(香川照之)。ある日、郷里・盛岡の友人(光石研)から訪問を受ける。手渡された古い住宅地図に、閉じ込められた思い出の街。あの少女の家は「空き地」とだけ記されていた…。高橋克彦の直木賞受賞作を完全映画化。
盛岡にこだわり、ミステリー作家として活躍する高橋克彦。直木賞作「緋い記憶」を始め、「遠い記憶」「前世の記憶」の三作品を、三人の監督が盛岡でオールロケで演出した、情感溢れる大人のためのオムニバス・ミステリー映画。
監督は全員が日活撮影所出身の実力派。「遠い記憶」を『スイート・スイート・ゴースト』(2000)でデビューした芳田秀明。「前世の記憶」をヒット作『免許がない!』(1994)、『キリコの風景』(1998)の明石知幸。「緋い記憶」は富江シリーズ第7作目『富江VS富江』(2007)が長編デビューの久保朝洋。個性的な監督たちが独自の感性で、全くテイストの違う作品に仕上げた。
 

《料金》
一般1500円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


「何も変えてはならない」
2011年1月8日(土)〜11日(火) 18:45〜
ペドロ・コスタとジャンヌ・バリバール
ふたつの魂が響き合う、奇跡のコラボレーション


 
 
鮮烈な日本公開作『ヴァンダの部屋』、
驚きと感動をもって迎えられた『コロッサル・ユース』から2年。
ポルトガルの俊英が、友情と敬愛をもってフランス人女優ジャンヌ・バリバールの歌手活動を記録した、
これまでにない至高の音楽ドキュメンタリーが誕生。
 
「何も変えてはならない」
Ne change rien
(2009/ポルトガル・フランス/103分/35mm/モノクロ)
監督:ペドロ・コスタ 撮影:ペドロ・コスタ
編集:パトリシア・サラマーゴ
録音:フィリップ・モレル、オリヴィエ・ブラン、ヴァスコ・ペドロソ
音楽:ピエール・アルフェリ、ロドルフ・ビュルジェ、ジャック・オッフェンバック
製作:アベル・リベイロ・チャベス
出演:ジャンヌ・バリバール、ロドルフ・ビュルジェ、エルヴェ・ルース、アルノー・ディテリアン、ジョエル・テゥー
自由に生きる女性の、美しき肖像
『そして僕は恋をする』(アルノー・デプレシャン)や『恋ごころ』『ランジェ公爵夫人』(ジャック・リヴェット)などに主演し、若手から巨匠まで現代フランスにおける映画作家たちのミューズとして知られるフランス人女優ジャンヌ・バリバール。歌手としても知られるバリバールの音楽活動の軌跡を、『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』で世界中の気鋭の映画作家たちやアーティストたちを刺激し続ける、今最も注目を集めるポルトガルの鬼才ペドロ・コスタが独自の視点で映画にした。
 
原題の「NE CHANGE RIEN」(何も変えてはならない)は、ジャン=リュック・ゴダール『映画史』からの引用で、『何も変えてはならない』においても、サンプリングされたゴダールの声を聞く事ができる。ゴダールはこの言葉を、ロベール・ブレッソンの「シネマトグラフ覚書」から引用している。

『何も変えてはならない』讃   山根貞男
 歌を撮る——ただそれだけの映画が驚くほど面白い。
 ペドロ・コスタの『何も変えてはならない』は奇跡といいたくなるような映画である。実際ここには、歌うこと、歌と歌う声を練り上げることしか、映し出されていない。にもかかわらず、いや、だからこそ、映画の裸形がなまなましく出現する。
 歌、声、姿、動き、場所、時間が、モノクロームとしての色つまり光と混淆するなか、映画にとって音声とは何かがスペクタクルとなってくりひろげられるのである。
 映画を聴く、歌を見る——そのスペクタクルといってもいい。
 こんな奇跡が突然可能になるわけがない。『ヴァンダの部屋』や『コロッサル・ユース』などがあってこその達成であろう。逆にいえば、この映画を見れば=聴けば、それらの作品が新しい相貌を呈するにちがいない。

ペドロ・コスタインタビュー
『コロッサル・ユース』の日本公開時(2008年4月2日)に行われたものです。
配給会社シネマトリックス、および前田晃一氏らのご厚意により、ここに掲載させていただきます。

 
[公式サイト]
 
[関連企画] ペドロ・コスタ監督特集
1月14日(金)〜16日(日)
『ヴァンダの部屋』
『映画作家ストローブ=ユイレ/あなたの微笑みはどこに隠れたの?』
『コロッサル・ユース』
「ペドロ・コスタ短編集(『六つのバガテル』『タラファル』『うさぎ狩り』)」

 
 

《料金》
一般1500円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円


ペドロ・コスタ監督特集
2011年1月14日(金)〜16日(日)
『何も変えてはならない』の公開を記念して、ペドロ・コスタ監督の作品を特集上映。
  
Aプログラム
「ヴァンダの部屋」
No Quarto da Vanda
(2000/178分/35mm)
監督・撮影:ペドロ・コスタ
出演:ヴァンダ・ドゥアルテ、ジータ・ドゥアルテ、レナ・ドゥアルテ
リスボンのスラム街フォンタイーニャス地区で、少人数のスタッフにより、ヴァンダとその家族をじっと静かに見つめる。ヤクを吸うヴァンダが時に聖女と見紛う奇跡の映像。
 
 
Bプログラム
「映画作家ストローブ=ユイレ/
あなたの微笑みはどこに隠れたの? 」

Danièle Huillet, Jean-Marie Straub cinéastes : Où gît votre sourire enfoui?
(2001/104分/35mm)
監督・撮影:ペドロ・コスタ
出演:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
映画作家の創作のプロセス・瞬間だけでなく、ときに滑 稽でさえあるストローブ=ユイレ夫婦の物語や映画への愛が、膨大な議論や感情のやりとりを通じて描かれる。
Cプログラム
「コロッサル・ユース」
Colossal Youth / Juventude em marcha
(2006/155分/35ミリ)
監督・撮影:ペドロ・コスタ
出演:ヴェントゥーラ、ヴァンダ・ドゥアルテ、ベアトリズ・ドゥアルテ、イザベル・カルドーゾ
『骨』『ヴァンダの部屋』に続いて、リスボンのフォンタイーニャス地区を舞台に、カーポ・ヴェルデからの移民のひとりヴェントゥーラが新しい集合住宅と荒廃した貧民窟を行き来する。魂の彷徨の物語。ヴァンダのその後も描かれる。
 
 
Dプログラムペドロ・コスタ短編集
「六つのバガテル」
6 Bagatelas
(2002/18分/ビデオ)
監督:ペドロ・コスタ/ティエリー・ルナス
出演:ジャン=マリー・ストローブ、ダニエル・ユイレ
ストローブ=ユイレを撮影した6つの場面によって構成された嬉遊曲(ディヴェルティメント)。
 
「タラファル」
Tarrafal
(2007/16分/ビデオ)
監督:ペドロ・コスタ
出演:ヴェントゥーラ、イザベル・カルドーゾ、ヴァンダ・ドゥアルテ
ポルトガルによって建設された政治犯用の強制収容所が存在した土地タラファル[カーボ・ヴェルデ]をめぐって語られる土地と家族の運命。
「うさぎ狩り」
The Rabbit Hunters
(2007/23分/ビデオ)
監督・脚本:ペドロ・コスタ
出演:アルフレッド・メンデス、ヴェントゥーラ、ジョゼ=アルベルト・シルヴァ
『コロッサル・ユース』のヴェントゥーラが語り部を演じ、この土地を巡る人間関係の過去と現在が交錯する。
 

ペドロ・コスタインタビュー
『コロッサル・ユース』の日本公開時(2008年4月2日)に行われたものです。
配給会社シネマトリックス、および前田晃一氏らのご厚意により、ここに掲載させていただきます。

 
  

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1200円 学生・シニア1000円
会員1000円 学生会員・シニア会員900円

《割引》
「何も変えてはならない」の半券提示、あるいは2プログラム目は200円引き


[貸館]神戸の壁保存活動の記録「神戸の壁の記憶」DVD放映の集い
2011年1月23日(日)13:45〜(受付13:30〜)
神戸の壁のあった長田の地で保存活動の参加・支援者への活動報告。
「神戸の壁の記憶」DVD上映と「震災と壁の思いを語る」会。 
 
主催:リメンバー神戸プロジェクト
後援:兵庫県、神戸市、西宮市
協賛:「大若」神戸の壁跡1.17の集い実行委員会、ジュンク堂書店
支援:ひょうご安全の日推進県民会議
協力:1.17KOBEに灯りを IN ながた実行委員会、眞陽婦人会、この町・花の街作戦実行委員会、Bird’s Eye出版、神戸映画資料館、オフィスハル
   

《料金》無料(要予約)
お申し込み(1月17日締切):リメンバー神戸プロジェクト TEL 090-4302-8231


タカシ時間 vol.8
1月28日(金)・29日(土) 両日18:30

 
 
『堀池音頭の日』
(2010/20分)
『やながわ川下り』
(2011/20分)
 
 
 
2005年12月から東京茅場町のギャラリーマキでスタートした新作上映会「季刊タカシ」は、年3、4回のペースで現在も続いています。神戸の「タカシ時間」では、映像作家・崟利子がこれまで作ってきた作品を新たな組み合わせでごらんいただきます。
 
無名の「風景」に名を与える~映像作家 崟利子についての試論

《会費》1500円

 協力:ギャラリーマキ


初笑い時代劇大会
2011年1月29日(土)・30日(日)
日本の白黒(モノクロ)映画を上映するシリーズ第1弾として新春に相応しい爆笑喜劇時代劇4作品を集めた。エンタツ、アチャコ、ロッパ、シミキン、トニー谷、金語楼、堺駿二、伴淳などなど、懐かしのお笑い芸人が繰り広げる抱腹絶倒の物語のかずかず。
監督は3本が斎藤寅次郎、1本が丸根賛太郎監督。制作は1950年代前半です。題名は当日のお楽しみに!
 
(会員の皆様からの上映作品タイトルの問い合わせを、電話・e-mailで受け付けます。会員番号をご確認の上、お問い合せください)

《料金》入れ替え制
1本あたり
一律500円


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。