プログラムPROGRAM
2013 9

新発掘!大藤信郎アニメーション
2013年9月7日(土)・8日(日)
 
『くじら』『幽霊船』など世界的に評価される大藤信郎(1900−1961)の失われたと思われていた『のろまな爺』『竹取物語』の二本のフィルムが奇跡的に発見された。
これを記念して神戸映画資料館収蔵の大藤作品を一挙上映する。
なお、以下の解説は有文社刊「日本アニメーション映画史」を参照した。
 
Aプログラム
「のろまな爺」
(1924/5分[16コマ] /35mm/無声/染色)
*新発掘
スミカズ映画創作社の幸内純一に弟子入りしてアニメを学んだ大藤が初めて作った試作第一作。各種文献によると「のろまな親爺」と記載されているが、フィルムのクレジットは「のろまな爺」。復元はIMAGICAウェストが担当、発見された染色フィルムを白黒フィルムにプリントし改めてオリジナル通りに染色した。
「孫悟空物語」
(1926/8分[16コマ] /35mm/無声/白黒)自由映画研究所
お馴染みの孫悟空物語を千代紙を切り抜く方法でアニメ化したもの。孫悟空は猪八戒、沙悟浄とともに三蔵法師を守って天竺にたどり着く。
「みかん船」
(1927/6分[16コマ] /16mm/無声/白黒)大藤信郎プロダクション
嵐の中を紀州から江戸へミカンを運ぶ紀伊国屋文左衛門の話。かっぽれの総おどりで終る華やかな千代紙映画。
「黒ニャゴ」
(1929/3分[16コマ]/ 35 16 mm/無声/白黒)千代紙映画社
ニャゴよニャゴよと踊るニャゴほしや ニャゴは黒ニャゴ 首輪は赤で……
有名な童謡レコード「黒ニャゴ」の歌詞に合わせて黒猫と虎猫と四人の子供が踊る。フィルムは無声だが本来はレコードと同調するレコード・トーキー。
「お関所」
(1930/8分[16コマ] /35mm/無声/調色)千代紙映画社
箱根の山の関所に旅芸人の一座がやって来る。通行手形を持っていなかったが、芸をすれば通してやると言われ、猿回し、支那手品と賑やかに楽隊まで繰り出し関所を通る。
「村祭」
(1930/3分[16コマ]/35mm/無声/染色)千代紙映画社
村の鎮守の神様の、今日はめでたい御祭日、
ドンドンヒャララ、ドンヒャララ、朝から 聞こえる笛太鼓……
文部省唱歌「村祭」のレコードに合わして歌詞が出る。フィルムは無声だが本来はレコード・トーキー。
「国歌・君が代」
(1931/3分[16コマ]/16mm/無声/白黒)千代紙映画社
君が代のレコードに合わせて四部構成(大八州国創生、君が代歌詞、天岩窟、金色のとび)で描く日本国の神話。フィルムは無声だが本来はレコード・トーキー。
「春の唄」
(1931/3分[16コマ]/35mm/無声/染色)千代紙映画社
桜咲く国 桜 桜

 花は西から 東から

 此処も散りしく アスファルト……
OSK日本歌劇団春のおどりのテーマ曲「桜咲く国」としても知られる「春の唄」のレコードに合わせた千代紙アニメ。フィルムは無声だが本来はレコード・トーキー。
「ちんころ平平玉手箱」
(1936/8分/16mm/白黒)千代紙映画社
昼寝の夢を亀に破られた“ちんころ平々”怒って竜宮まで追いかける。竜宮の門番に城内への立ち入りを断られるが、魚に化けて入り玉手箱を盗み出す。逃げ帰って玉手箱を開けたら出てきたのはタコ入道。
「子供と工作」
(1941/20分/16mm/白黒)十字屋映画部 
脚本:田中喜次 演出:渡辺義美 撮影:丸子幸一郎 影絵:大藤信郎 音楽:服部正
子供への工作教育の重要性を説く国策に沿った文化映画で実写が中心だが、部分的にアニメが使用されている。冒頭のタイトルバックから大藤独自の影絵が 登場する。
 
Bプログラム  
「マレー沖海戦」
(1943/27分/16mm/白黒)横浜シネマ商会
海軍省委託によりマレー沖海戦(1941)の成功を影絵映画化したもの。対米英開戦の直後、英国艦プリンス・オブ・ウェールズとレパルスを日本の海軍航空隊が撃沈した様子を描く。
「雪の夜の夢」
(1947/9分/16mm/白黒)千代紙映画社
アンデルセンの「マッチ売りの少女」を中国風にした影絵で、幻想的な作品。雪の降る夜にロウソクを売る少女がある家の窓を覗くと親と子が幸福そうに暮らしている。力が尽き倒れるが、幻の母が現れ夢の中で母と一緒に戯れる。気がつくと母は消え親切な人に助けられる。
「花と蝶」
(1954/9分/16mm/カラー)千代紙映画社
擬人化された白い蝶と赤い蝶、黄色の蝶が春の光を浴びて飛んでいる。大雨となり白ユリ、紅バラ、黄色いチューリップに雨宿りを頼むが同じ色の蝶しか入れてくれない。小鳥にヒナが木の葉を落としてくれたので、それを被って雨宿り。雨が上がり再び三羽の蝶は元気を取り戻す。珍しいコニカラー作品だが上映プリントは褪色。
「団子兵衛捕物帖・開けーごまの巻」
(1955/10分/16mm/白黒)千代紙映画社
1952年「四十人の盗賊」の改題。山賊の首領は奪った千両箱を洞窟に隠しているが、「開けーゴマ」の呪文で岩戸を開けるのを目撃した団子兵衛は、同じ呪文で千両箱を取り戻す。紙恭輔の曲に合わせたミュージカル風。
「竹取物語」
(1961/3分/35mm/カラー・シネスコ/未完成)
*新発掘
1961年、61才の生涯を閉じた大藤が構想して果たせなかった竹取物語。テスト撮影のラッシュを見た人がいるとの情報はあったものの、その存在は今まで未確認であった。今回発見されたのはテスト撮影したフィルムで、作品としてはまとまっていない。コダックのネガ5248は褪色激しく完全な発色は不可能であったが、IMGICAウェスト技術陣の尽力で、デジタル技術を導入することなくフィルム作業だけで色再現を行った。
 
ウェブ・スペシャル 寄稿
 「新発掘!大藤信郎アニメーション」に寄せて
 渡辺 泰(アニメーション研究家)

《料金》入れ替え制
1プログラムあたり
一般1500円 シニア・学生1300円
会員1300円 会員シニア・学生1200円

《割引》
当日、2プログラム目は200円引き


ロシア・ソヴィエト映画 連続上映
第2回 音楽映画集1

2013年9月14日(土)〜16日(月・祝)
「音楽映画集」一週目は、1920年代のソヴィエト・ジャズから、グルジアの民謡、そしてペレストロイカ後のロック・ミュージックと、ポピュラー音楽をテーマにした作品集を。
そして二週目は、クラシック音楽を扱った華麗な大作を中心に集めました。
 
「陽気な連中」
(1934/95分/35mm)
モスクワ・キノコンビナート
監督:グリゴリー・アレクサンドロフ
脚本:ニコライ・エルドマン、ウラジーミル・マッス、グリゴリー・アレクサンドロフ
撮影:ウラジーミル・ニールセン
音楽:イサーク・ドゥナエフスキー
出演:レオニード・ウチョーソフ、リュボーフィ・オルローワ
音楽が好きな田舎の牧童コースチャが、モスクワの音楽学校へ入り、さまざまな偶然のおかげで隠れた才能を発揮する。エイゼンシュテインの陰に隠れていたアレクサンドロフが、その才能を一気に花開かせたハチャメチャ音楽喜劇。ソヴィエト・ジャズの創始者ウチョーソフ自ら主演。
 
 
「若き作曲家の旅」
(1985/104分/35mm)
グルジアフィルム
監督・脚本:ゲオルギー・シェンゲラーヤ
原作:オタール・チヘイゼ
出演:レヴァン・アバシーゼ、ギヤ・ベラーゼ
革命前夜の時代、古いグルジア民謡をすべて採集したいという夢に取りつかれた若い作曲家が、録音機を持ってグルジアの村々を回る。グルジア映画の重鎮シェンゲラーヤの、抑圧された祖国の歴史への思いを秘めた作品でイオセリアーニにも影響を与えた。1986年ベルリン映画祭銀熊賞受賞。
 
 
「ジャズメン」
(1983/88分/35mm)
モスフィルム
監督:カレン・シャフナザーロフ
脚本:アレクサンドル・ボロジャンスキー、カレン・シャフナザーロフ
撮影:ウラジーミル・シェフツィク
音楽:アナトリー・クロール
演奏:ソヴレメンニク
出演:イーゴリ・スクリャール、アレクサンドル・パンクラトフ=チョールヌイ、ニコライ・アヴェリュシキン、ピョートル・シチェルバコフ
1920年代、ソヴィエト・ジャズ草創期。ジャズの虜になったために音楽学校を退学させられた主人公が仲間を見つけ、ソヴィエト最初のジャズバンドを結成するまでを、豊富なジャズ音楽とともに綴る。『陽気な連中』とあわせて見て欲しい。
 
 
「僕の無事を祈ってくれ」
(1988/81分/35mm)
カザフフィルム
監督:ラシド・ヌグマノフ
脚本:アレクサンドル・バラノフ、バフイト・キリバェフ
撮影:ムラト・ヌグマノフ
音楽:ヴィクトル・ツォイ
出演:ヴィクトル・ツォイ、マリナ・スミルノーワ、ピョートル・マモノフ
映画大学の卒業制作として、ヌグマノフ監督が故郷アルマ・アタ(カザフスタン最大の都市)を舞台に、人気ロック・バンドのリーダーでやはりカザフ出身のヴィクトル・ツォイを主役に迎えて撮った長篇第1作。元恋人を麻薬密売グループから救おうと孤独な戦いを挑む主人公は、ペレストロイカ後のソ連に生まれた新しいヒーローとして人気を呼んだ。
 

第3回 音楽映画集2
2013年9月20日(金)〜23日(月・祝)
「チャイコフスキー」
(1970/155分/35mm)
モスフィルム
監督:イーゴリ・タランキン
脚本:ブジミール・メタリニコフ、ユーリー・ナギービン、イーゴリ・タランキン
撮影:マルガリータ・ピリヒナ
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:インノケンティー・スモクトゥノフスキー、アント二ーナ・シュラーノワ、エフゲニー・レオーノフ
ロシアの作曲家チャイコフスキーの生涯を、ソヴィエトの映画、音楽界が総力を結集して描きあげた音楽映画の大作。原案は、『真昼の決闘』『アラモ』などハリウッドで活躍したウクライナ出身の作曲家ディミトリ・ティオムキン。
 
 
「フランツ・リスト」
(1971/153分/35mm)
レンフィルム=マフィルム(ハンガリー)
監督:マルトン・ケチレ
脚本:レオニド・デリ、イムレ・ケシ
撮影:イシュトバン・ヒルデブラント
音楽監督:フェレンツ・ファルカーシ
出演:イムレ・シンコビッチ、アリアドナ・シェンゲラーヤ、クララ・ルーチコ
19世紀ハンガリーが生んだ作曲家でピアニスト、リストの伝記映画。ハンガリーの国立マフィルム撮影所との合作で、主なスタッフはハンガリーの映画人が固めている。高名なピアニスト、ジョルジ・シフラ、スビャトスラフ・リヒテルが演奏を担当しており、音楽ファン必見。
 
 
「ヨハン・シュトラウス」
(1971/100分/35mm)
レンフィルム
監督:ヤン・フリード
脚本:アナトーリー・グレブネフ
撮影:オレーグ・クホワレンコ
音楽:V・チスチャコフ
出演:ギルト・ヤコヴレフ、タチアナ・ベードワ、タチアナ・ピレツ力ヤ
19世紀半ばのペテルスブルグを舞台に、後に“ワルツ王”と呼ばれる若き作曲家シュトラウスの愛を描く。ロシア貴族の優雅な生活と社交界の様子も見所の一つ。演奏はレニングラード国立フィルハーモニー管弦楽団。
 
 
「クロイツェル・ソナタ」
(1987/155分/35mm)
モスフィルム
監督:ミハイル・シヴェイツェル、ソフィア・ミリキナ
原作:レフ・トルストイ
脚本:ミハイル・シヴェイツェル
撮影:ミハイル・アグラノヴィチ
出演:オレグ・ヤンコフスキー、イリーナ・セレズニョーワ、アレクサンドル・トロフィーモフ
トルストイの同名小説の映画化。題名のもとになったベートーベンの名曲にのせて、男と女の愛と性、エゴイズムと嫉妬が引き起こす悲劇を、主人公のモノローグで綴る。主演はタルコフスキーの『ノスタルジア』などで知られるオレグ・ヤンコフスキー。
 
 
主催:神戸映画資料館、アテネ・フランセ文化センター
協力:ロシア映画社
 

《料金》入れ替え制
1本あたり
一般1200円 学生・シニア1000円
神戸プラネットシネマ倶楽部会員1000円 学生・シニア会員900円
アテネ・フランセ文化センター会員1000円

《割引》
当日に限り2本目は200円引き


これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。