プログラムPROGRAM
2014 7

「こどもこそミライ ‐まだ見ぬ保育の世界‐」
2014年7月4日(金)〜8日(火)

講演:「どの子もよっといで! ─インクルーシブ保育のつくりかた─」
7月6日(日)13:00〜 *参加無料(要・映画半券。前日までの鑑賞者も可)
講師:堀 智晴(ほり・ともはる/元大阪市立大学教授)堀は、障害のある子どもの保育・教育について、実践研究をしてきた。その中で、障害のある子ない子が共に育ち合い、学び合っていくことが大事だと考えるようになった。また、これまでの保育と教育を再考する必要も出てきた。
今回の映画は、そのような子どもたちの育ち合いの保育実践の一端をみていただく。大阪で一番早くから障害のある子どもも共に保育をしてきた聖愛園は、もう40年の歴史がある。日本が、今年の1月に批准した「障害者権利条約」においても、障害のある子の教育は、インクルーシブ教育(障害のある子もない子も、共に学び合う教育)であるべきだと謳っている。
乳幼児期から、子どもたちが多様な他者(仲間)たちと出会い、共に生活し育ち合っていくことは、障害があるなしにかかわらず、現代子どもたちには一層必要なことではないかと考える。この映画をヒントに、現代の子育て、保育、教育のあり方について一緒に考えましょう。
字幕付き上映
聴覚障害のある方に映画をお楽しみいただく為に字幕付きで上映します。
7月5日(土)・6日(日) 11:00の回

「こどもこそミライ
‐まだ見ぬ保育の世界‐」

(2013/84分/HDV[ブルーレイ上映])
編集・監督:筒井勝彦
製作:オフィスハル
プロデューサー:筒井勝彦、秋葉清功、佐舗和生
企画:宮川 勉(小学館『新 幼児と保育』編集部)、筒井勝彦(オフィスハル)
撮影:秋葉清功、山口正芳、石﨑俊一
音楽:近藤久美子、稲葉 光、阿部浩二(トリンダージ)、近藤裕圭子、熊田 洋
唄:塩澤直美
イラストデザイン:ソ・ミジ
撮影協力:りんごの木、森のようちえんピッコロ、社会福祉法人路交館、保育所 聖愛園
配給:「こどもこそミライ」上映委員会
出演:りんごの木の子どもたち、柴田愛子、青山 誠、森のようちえんピッコロの子どもたち、中島久美子、聖愛園の子どもたち、野島千恵子、保育士・保護者のみなさん、常磐会学園大学 国際こども教育学部、堀 智晴

「きみたちこそ未来、みんなで手をつなぐともっと大きくなるよ!」

横浜にある「りんごの木」では、その日に園でおこったさまざまな出来事をテーマに子どもたちが自分の言葉で話し合います。一生懸命話し合って、心のもやもやを出し合って、結論はすぐにでないけど、子どもたちは考えます。
ここにはまったく新しい保育のかたちがあります。
「森のようちえんピッコロ」は、山梨の森の中にあります。この園の子どもたちは一日中、自然のふところに抱かれて全力を出しきって遊んでいます。それは子ども本来の姿であり、まさに人間の原点をみるようで、わたしたちに自然と人間のつながりの大切さをもう一度気づかせてくれます。
大阪の「保育所聖愛園」はインクルーシブ保育を実践している園です。インクルーシブ保育とは、ハンディのある子もない子もみんな一緒に育ち合う保育のことです。この園の子ども同士の助け合いの姿をぜひご覧ください。そしてその保育の現場に存在する、一片の詩情に胸をふるわせてください。

[公式サイト]

併映『屋敷林の手入れと子どもたち(中瀬幼稚園)』(11分)
  『わこう村 和光保育園の子どもたち』(18分)

《料金》
一般1200円 シニア1100円 学生1000円 こども(未就学児)無料
会員1000円

サイレント映画鑑賞会 バスター・キートン再び
2014年7月12日(土)・13日(日)  *12日のみ生演奏付き上映

「キートンの蒸気船」Steamboat Bill Jr.
(アメリカ/1928/69分/16mm)
監督:チャールズ・F・ライスナー、バスター・キートン
脚本:カール・ハルボー
出演:バスター・キートン、アーネスト・トレンス、マリオン・バイロン、トム・ルイス

無表情の、小柄な青年が、ひとりぽつんと立っている。青年の背後には、二階建ての家。サイクロンの強風にあおられ、家の壁はぐらぐらと不安定にゆれている。どっしりと重い壁は、やがてゆっくりと倒れる、何も気づかぬ青年の頭の上に。だが、奇蹟が起きる。二階の小窓が彼の体をすりぬけ、青年は間一髪で命拾いする・・・
この小柄な青年は、名をバスター・キートンという。キートンが主演し監督もしたサイレント喜劇映画では、運命は、彼をしばしばきまぐれにもてあそぶ。そのくせ運命は、いつでも彼の味方をするのだ。
「映画史上最高のスタントアクション」として知られるこの「壁ギャグ」は、バスター・キートンの映画を観たことがない人でも、きっとどこかで目にしているだろう。ジャッキー・チェンをはじめ、さまざまな映画やドラマ、CMで引用されてきた。
しかし、キートンとまったく同じ状況でこのアクションを再現しえた人は、誰もいない。なぜなら、キートンは、このギャグに文字通り命を賭けたからだ。壁の重さは2トンあり、小窓はとんでもなく小さかった。わずか数センチの誤差で、キートンは確実に壁の下でぺしゃんこになる可能性があったのだ・・・
サイレント長編『キートンの蒸気船』において、このアクションは生まれた。今回、神戸映画資料館において、本作を生伴奏つきフィルム上映で観られるということは、すなわち、歴史の目撃者となることにひとしいのである。もちろん、「壁ギャグ」以外にも見所はたっぷりだ。名優アーネスト・トレンスとキートンの父子愛や、新人女優マリオン・バイロンとの可憐な恋物語。クライマックスの嵐のシーンの迫力には、度肝をぬかれることまちがいない。

キーボード演奏をつとめるのは、無声映画伴奏で活躍いちじるしい「深海無声團」のメンバー、藤代敦さん。モダンでエレガントな演奏には定評がある。いつもはプラネットプラスワンを拠点に、活動弁士大森くみこさん、伴奏家のMomeeさんとのチームで活動しており、3月には資料館で『海底王キートン』の弁士上映も成功させている。今回はソロでの演奏ということで、これもまた楽しみだ。
映画上映につづいて、筆者が講師をつとめる講座《コメディ学入門》を開催する。もちろんテーマは「バスター・キートン」。作品鑑賞とあわせてご参加いただければ、幸いである。(いいをじゅんこ)

演奏:藤代 敦(キーボード) *12日のみ生演奏付き上映

いいをじゅんこさんの「第8講コメディ学入門 バスター・キートン入門」(7月12日)と合わせてお楽しみください。

《料金》
一般1400円 学生・シニア1200円
会員1200円 学生会員・シニア会員1000円

《割引》*12日[第8講コメディ学入門] 参加者は200円引き
*13日(演奏なし)は200円引き

知られざるヨーロッパ映画
2014年7月19日(土)〜22日(火)
「もだえ」Hets
(スウェーデン/1944/96分/16mm)
監督:アルフ・シェーベルイ
脚本:イングマール・ベルイマン
撮影:マルティン・ボディン
音楽;ヒルディング・ローセンベルイ
出演:アルフ・チェーリン、スティグ・イェレル、マイ・セッテルリング

カリギュラと呼ばれる陰険なラテン語教師に苛まれる高校生ヤン=エーリク。裕福な家庭に育ち理想を抱く彼がタバコ屋で働く娘と恋に落ち……。1946年の第1回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞。脚本は監督デビュー前のイングマール・ベルイマン、監督は『令嬢ジュリー』で知られるアルフ・シェーベルイ。

「沈黙の歓び」Vaxdockan
(スウェーデン/1962/95分/16mm)
監督:アルネ・マットソン
脚本:エヴァ・ゼーベルグ
撮影:アーケ・ダルクビスト
音楽:ウルリク・ノイマン
出演:ペール・オスカルソン、ジオ・ペトレ、トル・イセダル、エルサ・プラヴィッツ

デパートの夜間警備員をつとめる若い男が、マネキン人形を見初めアパートに持ち帰る。人形に語りかけ愛撫する男。いつしか人形は男の狂気の愛に応え始める……。監督は『春の悶え』でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したアルネ・マットソン。主演は『Sult』でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞した名優ペール・オスカルソン。

「処女のめざめ」
Una Vergine per un Bastardo
(イタリア/1965/86分/16mm)
監督・脚本:エドワード・ダイン
製作:ジョゼフ・ジュストマン
撮影:ブルーノ・レティツィア
音楽:ウーゴ・カリーゼ
出演:マリサ・ソリナス、ダン・ハリソン、ハインリヒ・レーウィンケル

生まれつき言葉をしゃべれない青年パコが、酒場をきりもりする少女シータと兄妹のように仲良く暮らす地中海のある孤島。そこへ仲間を裏切った強盗犯が流れ着き、盗んだ宝石をちらつかせて少女を誘惑する。島の風物を活かした画面作りや、歌で物語を紡いでゆく手法が新鮮。スタッフは一部変名が使われているが、アメリカB級映画の作り手が中心のようだ。少女シータを演じるのは、『ボッカチオ’70』やベルトルッチの『殺し』で知られるマリサ・ソリナス。

「続絶叫」La Nuit la Plus Longue
(フランス/1965/80分/16mm)
監督・脚本:ジョゼ・ベナゼラフ
撮影:アラン・ドローブ
音楽:チェット・ベイカー
出演:ヴィルジニー・ド・サラン、アラン・ティスィエ、ウィリー・ブラジオ

資産家の娘が誘拐団に森の中の邸宅に連れ去られ監禁される。ボスの連絡待つ一味は仲間割れをはじめ…。監督はエロティックな作風で知られるジョゼ・ベナゼラフ。本作でも女性同士のSMショーなどが見られるが、隠し撮りと思われる市街のシーンなど随所に初期ヌーヴェル・ヴァーグの影響が見られる。

プラネット・シネマテーク
《会費》 1本あたり
会員1200円 会員学生・シニア1000円
《割引》当日2本目は200円引き
*非会員のかたは、1日会員(登録料100円)のご登録をお願いします。

これまでのプログラム|神戸映画資料館

※内容は予告無く変更する場合があります。

※作品によっては、経年退化で色褪せしている場合がございます。予めご理解ご了承の上、ご鑑賞くださいますようお願い申し上げます。